トンボ

【日本昆虫研究所】アキアカネの秋色に染まる魅力!赤とんぼの秘密に迫る

アキアカネ(秋茜)について

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アキアカネ(学名: Sympetrum frequens)は、日本を代表する赤とんぼの一種で、秋の訪れを告げる昆虫として親しまれています。全国各地で見られる一般的なトンボで、特に田園風景と共に見かけることが多いです。その季節感あふれる姿と美しい赤い色から、日本の文化や童謡にも多く登場します。


1. 特徴

  • 体の色と模様
  • オス: 秋になると体が鮮やかな赤色に染まるのが特徴です。
  • メス: 淡い黄色や茶色で、オスよりも落ち着いた色合いをしています。
  • 幼虫: ヤゴ(幼虫)の体色は茶色で、泥の中で生活するため周囲とよく馴染む色です。
  • 体長
    全長は35~40mm程度で、比較的小型のトンボです。

2. 生息地

アキアカネは季節によって移動する「移動性トンボ」です。

  • 夏の生息地
    高地や涼しい場所で過ごします。山間部の湿地や池が中心。
  • 秋の生息地
    平地や里山、田んぼなど、人里近くの場所へ移動して産卵します。
  • 冬の生息地
    冬は卵の状態で水中で越冬します。

3. 行動と生活史

アキアカネは成虫として飛び始める夏から秋にかけて活動がピークを迎えます。

  • 夏場の高地移動
    春に羽化したアキアカネは夏場になると高地へ移動し、涼しい環境で体力を温存します。
  • 秋の平地移動と繁殖
    気温が下がると平地に戻り、産卵活動を行います。
  • 冬越し
    卵の状態で冬を過ごし、翌年の春になると幼虫(ヤゴ)が孵化します。

4. 食性

  • 成虫
    成虫は肉食性で、小型の昆虫や蚊などを捕らえて食べます。飛行中に獲物を捕らえることも得意です。
  • 幼虫(ヤゴ)
    ヤゴも肉食性で、水中に住むミジンコや小型の水生生物を捕食します。

5. 繁殖と産卵

アキアカネの繁殖活動は秋に見られます。

  • 交尾
    オスとメスが「連結飛行」と呼ばれる形で飛びながら交尾を行います。
  • 産卵
    メスは水辺で腹部を水面に打ち付けるようにして卵を産みます。
  • 卵の孵化
    翌春になると水中で幼虫が孵化し、数回の脱皮を経て成虫になります。

6. 観察のポイント

アキアカネは秋になると平地や公園などでも簡単に見つけることができます。

  • 活動時間帯
    朝から昼間にかけて活発に飛び回ります。夕方には日光浴をしていることが多いです。
  • 生息地を探す
    田んぼや水辺の周辺が観察しやすいポイントです。
  • 色の変化を楽しむ
    秋に赤く染まるオスの体色は、季節感を楽しむ要素のひとつです。

7. 日本文化との関わり

アキアカネは古くから日本人に愛されており、童謡「赤とんぼ」や俳句、絵画などに多く描かれています。秋の象徴として、日本人の郷愁を誘う存在です。


8. 保全状況

アキアカネは日本全国に分布していますが、農薬使用や湿地の減少により個体数が減少傾向にあります。特に都市部では生息地が限られてきています。保全のためには、農薬の使用を減らし、湿地環境を守る取り組みが必要です。

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