シロオビノメイガ(Maruca vitrata)は、日本や東南アジア、南アジア、さらにはアフリカやオーストラリアなど、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布するガの一種です。ヤガ科ノメイガ亜科に属し、農業害虫として多くの農家に知られています。特に豆類の栽培に大きな影響を与える害虫として注意が必要です。
- シロオビノメイガの外見と特徴
シロオビノメイガの成虫は、体長10~12mm、羽を広げると20~25mmほどの小型のガです。羽の色は茶色や黄褐色で、前翅に白い帯状の模様があり、これが「シロオビ(白帯)」の名前の由来です。
成虫の活動は主に夜間で、昼間は葉の裏や植物の茂みに隠れているため、発見が難しいことがあります。飛び方は軽やかで、光に集まる習性があります。
- 生態とライフサイクル
シロオビノメイガの生態は温暖な環境に適応しており、一年を通じて複数世代が発生します。温暖地域では、年間4~5世代以上発生することもあります。
卵
成虫のメスは植物の葉や茎に卵を産み付けます。一度に20~30個程度の卵を産むことが多く、孵化までは約3~4日です。
幼虫
幼虫は孵化後すぐに植物の内部に侵入し、茎や莢(さや)を食害します。この時期に発見しなければ、作物への被害が拡大します。幼虫期は約2~3週間続き、体長は最終的に15~18mmに達します。
蛹(さなぎ)
幼虫が成長を終えると、植物の葉や茎、土壌表面に移動し、繭を作って蛹になります。蛹期は約1週間程度で、この期間を経て成虫へと変態します。
成虫
成虫の寿命は1~2週間程度で、この間に交尾と産卵を繰り返します。
- 好む植物と被害状況
シロオビノメイガは、特にマメ科植物を好みます。被害が目立つのは以下の作物です:
ソラマメ
インゲンマメ
エンドウ
ダイズ
被害は主に幼虫によるもので、以下のような症状が現れます:
茎内部が空洞化し、成長が阻害される。
莢(さや)の中身が食べられ、収穫量が大幅に減少する。
被害が進行すると作物全体が枯死する場合もあります。
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