【日本昆虫研究所】ギンモンカレハの生態と特徴：銀の紋をまとう夜の静かな住人
**ギンモンカレハ（銀紋枯葉蛾）**は、その名前の通り、枯葉のような外見に銀色の紋を持つ美しいカレハガ科の一種です。夜行性で目立たない存在ですが、翅の模様や形状には自然の擬態の妙が凝縮されています。本記事ではギンモンカレハの特徴・生態・観察ポイントなどを詳しく解説します。
基本情報
- 和名：ギンモンカレハ（銀紋枯葉蛾）
- 学名：Callopistria japonibia
- 分類：チョウ目（鱗翅目） カレハガ科
- 体長：前翅長 約20?25mm
- 分布：本州、四国、九州
- 出現時期：主に6月～9月の夏季に多く、年に数回発生
- 生息環境：林縁、雑木林、街路樹の周辺など
ギンモンカレハの特徴
- 枯葉に擬態した翅の形状と色合いが特徴的で、静止時にはほとんど気づかれない。
- 前翅に銀色の小さな紋が入ることがあり、これが名前の由来。
- 翅の縁が不規則にギザギザしており、よりリアルな「枯葉らしさ」を演出。
- 成虫の体色は茶色や灰褐色を基調としており、個体変異が多い。
生態と行動
● 夜行性の習性
ギンモンカレハは基本的に夜行性の蛾で、昼間は木の幹や葉の裏などでじっとしており、夜になると活動を始めます。光に誘引される性質があり、夜間に灯火の近くで発見されることもあります。
● 幼虫の食草
幼虫はクワ科やバラ科の植物などを食草とし、広葉樹林に多く生息します。葉をかじり取る姿が観察されることもあります。
● 擬態による防御
成虫は非常に巧妙な擬態をしており、敵から身を守るために木の幹に溶け込むような体色と模様を持ちます。葉脈に似た模様や翅の欠けたような形は、まさに自然の芸術とも言えるでしょう。
観察のポイント
- 林道や公園など、外灯がある自然環境で見つけやすい。
- 木の幹や落ち葉の上で静止していることが多く、擬態により見逃しやすい。
- 同属・近縁種に似た外見のカレハガも多いため、銀紋の有無が識別の手がかりになります。
類似種との違い
- 同じく枯葉に擬態するクロカレハやヒメカレハなどと混同されることがありますが、ギンモンカレハは銀色の小紋が特徴的。
- 翅の色調は個体差があるため、完全な識別には複数の特徴を照合することが望ましいです。
名前の由来と魅力
「ギンモン」は翅に入る銀色の紋様（銀紋）、「カレハ」はその姿が枯葉に似ていることに由来します。多くの蛾がそうであるように、目立たない存在ですが、よく見るとその精巧な擬態や美しい模様に驚かされます。
人との関係
- 人家に害を与えるようなことはほとんどなく、人にとっては無害な昆虫です。
- 夜間に外灯の下に飛来することがあり、昆虫採集や観察の対象として人気があります。
まとめ
ギンモンカレハは、自然界の「静かな芸術品」と言える存在。銀の紋と葉に擬態した形状は、敵から身を守るための巧妙な進化の産物です。普段の生活ではなかなか目に留まりにくいかもしれませんが、灯火の下や林の中で出会ったときには、ぜひその繊細な美しさをじっくり観察してみてください。
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