
【日本昆虫研究所】モモスズメの生態と魅力:夜を彩る美しい大型スズメガ
**モモスズメ(桃雀蛾)**は、その名の通り桃の葉を好む幼虫と、スズメのようにがっしりした体つきの美しい大型の蛾です。夜に静かに飛ぶその姿と、成虫・幼虫ともに魅力的な特徴を持ち、昆虫愛好家の間でも人気があります。この記事では、モモスズメの基本情報や生態、観察ポイントをわかりやすく解説します。
基本情報
- 和名:モモスズメ(桃雀蛾)
- 学名:Marumba sperchius
- 分類:チョウ目(鱗翅目)スズメガ科
- 前翅長:約40?55mm
- 開張:80?110mmと大型
- 分布:本州・四国・九州・沖縄
- 出現時期:5月?9月頃(地域により年2回発生)
- 生息環境:雑木林、果樹園、都市公園など
モモスズメの特徴

● 美しい擬似「桃色模様」
- 前翅は褐色を基調に、中央部に赤みを帯びた桃色の帯模様が入り、名前の由来ともなっています。
- 後翅は鮮やかなピンク色が基調で、飛翔中に一瞬見えるその色合いが美しい。
- 翅の模様には個体差があり、観察や写真撮影の楽しみも大きい。
● 幼虫の特徴
- 幼虫は鮮やかな緑色で、尾の先端には**スズメガ科特有の“尾角”**がある。
- 成長すると大きく(最大で80mmほど)なり、緑の体に白い斜め帯模様が入る。
- 食草はモモ、ウメ、スモモ、サクラ、リンゴ、アンズなどのバラ科植物。
生態と行動

● 夜行性の飛翔
- 夜に活発に飛び回る夜行性の蛾で、特に月明かりのある静かな夜に多く観察されます。
- 街灯や室内灯などにもよく飛来し、灯火採集では代表的なスズメガの一つ。
● 幼虫の成長と蛹化
- 幼虫は葉を旺盛に食べ、十分に成長すると土中にもぐって**蛹化(さなぎ)**します。
- 蛹の状態で越冬する地域もあり、年1?2回の発生サイクル。
観察のポイント
- 果樹園や公園のモモ・サクラなどの木を探すと幼虫を発見できる可能性がある。
- 成虫は灯火(ライト)に飛来する習性を利用して、ライトトラップや夜の外灯を観察するとよい。
- 羽化直後の個体は色鮮やかで美しく、写真撮影にも最適。
名前の由来と意味
- 「モモスズメ」の「モモ」は主に幼虫がモモの葉を食べることに由来。
- 「スズメ」はスズメガ科特有の、羽を後ろに流した鳥のようなシルエットにちなんでいます。
類似種との違い
- スズメガ科には多くの類似種(エビガラスズメ、クチバスズメなど)がいますが、モモスズメは翅の中央に赤味を帯びた桃色の模様があることで識別可能。
- 翅を閉じたときのくさび形のシルエットも特徴的。
人との関わり
- 幼虫がモモやサクラの葉を食害することもありますが、被害は少なく、果樹栽培に深刻な影響を及ぼすことはまれ。
- むしろ、その美しさと大型の姿から観察・撮影対象としての価値が高い蛾です。
まとめ
モモスズメは、日本の夜に静かに飛ぶ美しい蛾であり、成虫・幼虫ともに観察価値が高い種です。大きな体に優美な模様、そしてスズメガらしいがっしりとしたシルエットが魅力で、自然観察の楽しみを広げてくれる存在です。灯火採集や果樹の観察など、さまざまなフィールドでその姿を探してみましょう。
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