
【日本昆虫研究所】真冬に現れる謎の蛾!クロテンフユシャクの驚きの生態とは?
クロテンフユシャク(黒点冬尺蛾)は、その名の通り「冬に活動する珍しい蛾」の仲間です。冬でも飛ぶ蛾として知られるフユシャク(冬尺蛾)類の中でもよく見られる種であり、黒っぽい点模様が特徴的な美しい蛾です。今回は、クロテンフユシャクの特徴や生態、なぜ冬に飛ぶのか?という謎に迫ってみましょう。
基本情報

- 和名:クロテンフユシャク(黒点冬尺蛾)
- 学名:Erannis montanata
- 分類:チョウ目(鱗翅目) フユシャク亜科
- 分布:日本各地(北海道?九州)
- 活動時期:11月?1月ごろ(寒さの厳しい時期に成虫が出現)
冬に飛ぶ蛾とは?

普通の蛾は夏?秋にかけて活動しますが、フユシャク類はその名の通り真冬に活動する特殊な蛾です。気温が5℃前後でも飛翔が可能で、氷点下でも活動することがあります。これは昆虫界ではかなり珍しい性質で、寒さに強い特殊な生態を持っています。
クロテンフユシャクの特徴

- オスのみが翅を持ち、飛翔可能
- クロテンフユシャクの成虫のオスは、黄褐色の翅に黒い斑点模様があり、名前の由来になっています。
- 翅を広げると30?35mm程度。
- メスは翅が退化し、飛べない
- メスはほとんど翅がなく、地面を歩いて移動し、木の幹などでオスを待ちます。
- 昆虫にしては非常に珍しい「性差の激しい種」です。
生態と繁殖行動

- 冬に成虫となり、夜間に飛翔して交尾相手を探します。
- 飛べるのはオスだけで、メスはフェロモンを出してオスを誘引します。
- 交尾後、メスは木の幹や枝に産卵。
- 翌春、卵から孵化した幼虫は新芽や若葉を食べて成長します。
幼虫について
- 幼虫は春?初夏にかけて活動し、尺取り虫(シャクトリムシ)型の特徴的な動きをします。
- カエデ類、クヌギ、コナラ、サクラなど、広葉樹の葉を食害することがあります。
- 成長後、土中で蛹となり、初冬に羽化して成虫になります。
観察のコツ
- 夜間、街灯や建物の外灯などに飛来するオスを観察できます。
- メスは木の幹や落ち葉の上などで見つかることがあります。
- 寒い夜でも気温が少し上がるタイミング(5?10℃)を狙うと遭遇率アップ!
似ている蛾との違い
- フユシャクの仲間は種類が多く、見分けが難しいですが、
- クロテンフユシャクは翅に点状の黒斑が明瞭
- よく似た種に「ウスバフユシャク」や「ナミスジフユナミシャク」などがあり、斑紋の形や翅の幅、色味で識別されます。
なぜ冬に現れるのか?
- 冬に現れることで天敵(鳥や他の昆虫)が少ない時期に繁殖できるという利点があります。
- 寒さへの適応は、他の昆虫にない特異な進化であり、昆虫界でも非常に珍しい存在です。
まとめ
クロテンフユシャクは、寒さの厳しい冬に現れる幻想的な蛾です。翅を持たないメス、寒さに耐えて飛ぶオス、その独特なライフサイクルは他の昆虫とは一線を画します。
もし冬の夜に街灯の下で小さな蛾が舞っていたら、それはこのクロテンフユシャクかもしれません。見過ごされがちな冬の命の営みを、ぜひ観察してみてください。
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