
【日本昆虫研究所】シロモンノメイガの不思議な生態!身近に潜む美しい蛾の世界
**シロモンノメイガ(白紋野螟蛾)**は、夏から秋にかけて日本各地で見られる小型の蛾です。白い斑紋と黄褐色の美しい翅が特徴で、身近な場所でも意外とよく目にする昆虫です。しかしその生態はあまり知られておらず、「どんな植物を食べるの?」「なぜこんなに目立つ色なの?」といった疑問も多くあります。今回は、シロモンノメイガの特徴や生態、観察のポイントについて詳しく解説します。
基本情報
- 和名:シロモンノメイガ(白紋野螟蛾)
- 学名:Glyphodes duplicalis
- 分類:チョウ目(鱗翅目) ツトガ科 ノメイガ亜科
- 分布:本州、四国、九州、南西諸島
- 出現時期:6月〜10月頃(年2回ほど発生する地域も)
姿と特徴

シロモンノメイガは、開張2〜3cmほどの小さな蛾ですが、見た目のインパクトは大きいです。
- 翅の色は黄褐色で、中央に白い帯状の斑紋があり、まるで装飾模様のように美しい姿をしています。
- 翅は透けるように薄く、光の当たり具合によってやや金属光沢を帯びて見えることもあります。
- 翅を広げて静止する姿が特徴的で、昼間でも葉の上などで観察されることがあります。
生態と暮らし
シロモンノメイガは比較的身近な環境で見られる昆虫で、公園や庭、雑木林、河原の植物などでも確認できます。
幼虫の食草
- 幼虫は**アカザ科の植物(アカザ、シロザなど)**を主に食べます。
- また、ホウレンソウやビートなどの農作物にもつくことがあり、農業害虫として扱われることもあります。
成虫の行動
- 昼行性に近い活動パターンで、日中に葉の上や茎にとまっている姿がよく見られます。
- 夕方以降に活動が活発になることもあり、街灯に飛来することも。
なぜ白い斑紋があるの?
白い斑紋は、「目立つから捕食者に狙われやすいのでは?」と思われがちですが、実は視覚的な錯覚を利用した擬態効果や、警戒色の一種であるとも考えられています。
また、周囲の葉や花と混じることで背景に溶け込み、結果的に目立ちにくくなる効果もあると言われています。
観察のポイント
- 葉の上にじっと止まっていることが多いので、見落とさないようにじっくり探すのがコツです。
- アカザやホウレンソウの葉を調べると幼虫が見つかる可能性もあります。
- 成虫は夏〜秋にかけてが最も多く、雨の後や曇りの日に特によく姿を見せます。
よく似た蛾との見分け方
- シロオビノメイガやキンモンガなど、似たようなサイズや模様の蛾が多いですが、シロモンノメイガの白帯は中央に太くはっきり入っているのが特徴です。
- 翅の角度や体の細さなども見分けのポイントになります。
まとめ
シロモンノメイガは、身近な環境にいながらも、その美しさと不思議な生態で私たちを驚かせてくれる蛾です。農作物への影響もあるため、益虫と害虫の間の存在として注目されることもあります。
しかしその姿をじっくり観察すると、自然の造形美や生態系のバランスの中での役割を改めて感じることができます。小さな翅に秘められた戦略や生き方を、ぜひ一度じっくり観察してみてください。
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