
【日本昆虫研究所】コメツキムシとは?背中で弾ける“パチン!”の正体と驚きの生態を徹底解説!
**コメツキムシ(米搗虫)**は、日本全国に広く分布する甲虫の一群で、その最大の特徴は「ひっくり返っても背中で跳ね起きる」という驚異の能力です。この「パチン!」という音とともに跳ねる動きは、子どもから昆虫マニアまで幅広い層を惹きつけます。本記事では、コメツキムシの分類、生態、ジャンプのメカニズム、身近な種などを詳しく紹介します。
基本情報

- 和名:コメツキムシ(米搗虫)
- 分類:コウチュウ目 コメツキムシ科(Elateridae)
- 体長:5mm〜40mm程度(種により大きく異なる)
- 出現時期:春〜秋(多くの種は5〜9月に活動)
- 分布:日本全国(世界でも広く分布)
- 生息環境:森林、公園、草原、農地など多様な場所
コメツキムシの特徴

● 名前の由来
- 「コメツキ(米搗き)」とは、かつての杵(きね)で米をつく動作に似た跳ね上がり方から名づけられたとされます。
● 跳ね起きるメカニズム
- 胸部にある**「胸板突起(プロセッサス)」という構造を使って地面に叩きつけ、空中に跳ね上がる**。
- 仰向けになっても自力で跳ねて元の姿勢に戻れる。
- 跳ねる際には**「パチン!」という小さな音**がする。
● 体の構造
- 頭部は小さく、前胸と前翅(さやばね)が大きく発達。
- 全体的に細長いシルエットで、地味な褐色〜黒褐色の体色が多い。
- 前翅には点刻(細かなへこみ模様)が並び、種ごとに異なる模様がある。
生態と生活史

● 幼虫(ワラジムシ状の細長い形)
- 多くの種で**「ツチハンミョウ型」と呼ばれる硬くて細長い形状**。
- 腐朽木や土壌中で生活し、腐植物や昆虫の卵・幼虫などを食べる雑食性。
● 成虫
- 樹皮の裏、倒木、落ち葉の中、草むらなどに潜んでいる。
- 夜行性が多く、灯火にもよく飛来する。
- 飛翔能力も高く、多くの種がよく飛ぶ。
よく見られるコメツキムシの仲間

種名 | 特徴 |
---|---|
クロコメツキ | 全身黒く光沢がある。林内の倒木や落ち葉で見られる。 |
オオコメツキ | 体長30mm超の大型種。太くて重厚な体形。 |
ヒゲナガコメツキ | 長くて立派な触角を持ち、外見が特徴的。 |
ルリボシコメツキ | 青緑の金属光沢が美しい。山地性。希少種。 |
ホソコメツキ | よく草地で見かける細身の小型種。 |
防御の手段としての「跳ねる」行動
- 天敵(鳥やトカゲ)に襲われたとき、仰向けになって一瞬で跳ね飛び、身を守る。
- この跳ね方は予測不能な方向に動くため、捕食者の目をくらませる効果がある。
観察・採集のポイント
- 倒木や腐った丸太、落ち葉の下などをめくると見つけやすい。
- 夜間の灯火採集にもよく飛来する。
- 種によっては春先にしか現れないもの、夏に出るものがあるため、季節ごとに狙い目が変わる。
コメツキムシと人との関わり
- 一部の種(ツチコメツキなど)は農作物に害を及ぼすこともある(根などを食べる)。
- とはいえ、ほとんどの種は無害で、生態系の分解者や捕食者として重要な役割を持つ。
まとめ:地味だけど面白い、コメツキムシの魅力
コメツキムシは、見た目こそ地味ですが、ジャンプして体勢を戻すという独特の生態や、意外と多様な種のバリエーションを持つ、知れば知るほど面白い昆虫です。森林や草地で、倒木や落ち葉をそっとめくると、パチン!と跳ねる小さな命との出会いが待っています。
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