
【日本昆虫研究所】オナガグモとは?細長い体と独特な姿勢が特徴の珍しいクモの正体を徹底解説!
**オナガグモ(尾長蜘蛛)**は、体が非常に細長く、静止時には脚を体に沿わせて“棒”のような姿になることで知られるユニークなクモです。地味な色合いながらその特異な姿勢と隠蔽行動により、自然観察好きや昆虫写真家の間では密かな人気を誇ります。森林や草原などで見られるこのクモの生態を詳しく見ていきましょう。
基本情報

- 和名:オナガグモ(尾長蜘蛛)
- 学名:Ariamnes cylindrogaster
- 分類:クモ目(Araneae) コガネグモ科オナガグモ属
- 体長:雌:約20?30mm、雄:約15?20mm
- 分布:本州・四国・九州・沖縄など
- 生息環境:森林の低木、下草、林縁部、竹林、草地
オナガグモの特徴

● 極端に細長い体形
- 腹部が異様に細長く棒状で、まるで枯れ枝や針金のようなシルエット。
- 脚も全体的に細長く、静止時には脚を体にぴったり沿わせる独特な姿勢をとる。
- 腹部末端がやや上に反り返るのが「尾長」と呼ばれる所以。
● 擬態(ミミズや小枝に見せる)
- オナガグモは天敵から身を守るために、周囲の細い枝や枯れ茎、針金などに擬態している。
- まったく動かずにじっとしているため、気づかれにくい。
● 色合いは変異が多い
- 体色は黒褐色、茶色、灰色、緑がかったものまであり、生息環境の背景に馴染む色をしている。
- 樹皮や竹、細い茎と似た配色をしており、見つけるのが非常に難しい。
生態と生活史

● 網は張らない
- オナガグモの多くは捕獲網を張らない徘徊性のクモ。
- 獲物を待ち伏せ、または歩行中に偶然出会った昆虫などを捕える。
- 夜行性の傾向があり、日中は姿勢を固めてじっとしている。
● 繁殖と産卵
- 雌は腹部の一部に卵を保持することもあり、木の隙間や葉裏に産卵する。
- 幼体は親と似た細長い姿をしており、成長と共に擬態能力も高まっていく。
よく似た種との違い
種名 | 違いのポイント |
---|---|
カグヤオナガグモ | オナガグモに似るが、腹部の形状や棲息域(主に南西諸島)に違いがある。 |
イトグモの仲間 | 同様に細長い種がいるが、網を張るなど生態が異なる。 |
ハエトリグモ類 | 全く違う行動様式を持ち、体も寸胴で短い。 |
観察のポイント

- 昼間は静止していることが多く、枝や竹、草の間に紛れ込んで見つけづらい。
- 木の枝先や細い草茎、葉の裏にいることが多い。
- 体の輪郭が背景と一致していることが多いため、まず“棒”のようなものを探す。
クモでありながら「棒」に擬態する不思議な存在

オナガグモは、クモ類の中でも特に異質な体型と擬態行動を持つ種として知られています。網を張らないという点でもユニークで、昆虫好きや野外観察者にとっては発見の喜びが大きいクモといえるでしょう。見た目が奇抜なだけでなく、生態的にも非常に興味深い存在です。
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