
【日本昆虫研究所】コシアキミナモオドリバエの生態と特徴|水辺で踊るように飛ぶ美麗な小型ハエの正体
■ 概要
コシアキミナモオドリバエは、水辺や湿地の周辺で観察される小型のハエで、金属光沢のある体と、水面近くを踊るように飛び回る独特な行動が特徴です。ミナモオドリバエ科に属する種で、その美しさと軽やかな動きから、昆虫観察者の間で密かに人気を集めています。名前の「コシアキ(腰空き)」は、胴部の模様に由来します。
■ 基本情報

- 和名:コシアキミナモオドリバエ(腰空水面踊蝿)
- 学名:Hydrophorus 属の一種(または近縁種)
- 分類:ハエ目(双翅目) / ミナモオドリバエ科(Dolichopodidae)
- 体長:約4?6mm
- 分布:日本全国(北海道?南西諸島まで)
- 活動時期:5月?10月(特に初夏?晩夏に多い)
- 生息環境:水田、湿地、池沼、河川の縁、水たまり周辺などの水辺環境
■ 特徴

コシアキミナモオドリバエは、体が緑青色?青金属色に輝く小型のハエで、特に日光の下で強く光沢を放ちます。翅は透明で、よく見ると脚に白い帯状の模様があり、飛んでいるときに目立ちます。
腹部の中央部がくびれて白く見えるため、「コシアキ(腰が空いている)」の名前の由来となっています。脚は細長く、特に後脚が発達し、跳ねるような動きを助けています。
■ 生態

この種は、主に水辺の植物の上や水面近くを滑るように飛び回り、交尾行動やテリトリー行動を行うことが知られています。オスは特にアクティブで、メスに対して求愛ダンスのような動きを見せることもあります。
幼虫は腐植質の多い湿った土や泥の中、水草の根元などで育ちます。成虫は小型昆虫や微小な有機物を摂取し、捕食性と腐植性の中間のような食性を示します。
日中によく活動し、特に風のない晴天の水辺では複数個体がすばやく飛び交う様子が見られます。
■ 観察ポイント

- 田んぼのあぜ道や小川沿いなど、浅い水たまりのある場所を歩くと飛び出すことが多い。
- 水面の上や近くの葉の上を小刻みに移動するので、動きの速さに注意しながら観察する必要があります。
- 光沢のある体と素早い動きが観察の手がかりになります。
- 望遠マクロレンズなどを使うと、金属光沢を捉えた美しい写真が撮影できます。
■ 類似種との違い
- ミナモオドリバエ類全般:同じように水辺で見られますが、コシアキミナモオドリバエは特に腹部の白帯模様と金属光沢が目立ちます。
- ホソヒラタアブやタマバエ類:体形や大きさは似ていますが、飛び方や脚の形状、体色が異なります。
- アシナガバエ類とは近縁ですが、コシアキミナモオドリバエは水辺特有の行動を持つ点で識別できます。
■ まとめ
コシアキミナモオドリバエは、その名の通り水辺で舞うように飛ぶ、美しい小型のハエです。金属光沢の体と、俊敏で軽快な動きは、見つけると少し得をしたような気分にさせてくれます。普段あまり注目されることのないハエの仲間にも、これほど魅力的な種がいることを、ぜひ多くの人に知っていただきたい昆虫のひとつです。
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