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【日本昆虫研究所】ヒメウラナミジャノメとは?眼状紋が美しい林縁の小さな蝶の魅力を解説

【日本昆虫研究所】ヒメウラナミジャノメの生態と特徴|日陰に舞う眼状紋の美しい蝶の世界


■ 概要

ヒメウラナミジャノメは、日本各地に広く分布するタテハチョウ科のチョウで、林の縁や草地、都市公園などに普通に見られます。地味な色合いながら、翅に並ぶ複数の眼状紋(蛇の目模様)が印象的で、昆虫観察の入門種としても親しまれています。名前にある「ヒメ(姫)」は、その小型で繊細な印象を表しています。


■ 基本情報

  • 和名:ヒメウラナミジャノメ(姫裏波蛇目)
  • 学名Ypthima argus
  • 分類:チョウ目(鱗翅目) / タテハチョウ科 / ジャノメチョウ亜科
  • 体長:前翅長 約20〜30mm
  • 分布:日本全国(北海道〜南西諸島まで)
  • 活動時期:3月〜10月(地域によっては年に数回発生)
  • 生息環境:森林の縁、明るい林内、草地、公園、庭、河川敷など

■ 特徴

ヒメウラナミジャノメの翅は、淡い茶褐色から灰褐色のグラデーションで、**後翅と前翅の裏面には複数の明瞭な眼状紋(黒い斑点に黄色の縁取り)**が整然と並びます。特に後翅には5つ前後の眼状紋が現れ、個体によって数や大きさに若干の変異があります。

翅の裏側には**波状の細かい線(「裏波」模様)**が見られ、これが和名の由来にもなっています。表側はやや地味で、飛翔中は裏面の模様が目立ちます。

飛翔は穏やかで、ふわふわと低く飛び、しばしば草の間に降りては止まるという行動を繰り返します。


■ 生態

ヒメウラナミジャノメは日陰を好む傾向があり、森林の縁や林道沿いなど半日陰の環境で多く見られます。真夏の暑い時期でも木陰で活動するため、他の蝶が少ない時期でも観察しやすい種です。

成虫は、主にノアザミやシロツメクサなどの花の蜜を吸うほか、樹液や腐果にも集まることがあります。

幼虫の食草は**イネ科植物(ススキ、チヂミザサなど)**で、草地や林縁で成長します。1年に2〜4回発生する多化性の蝶で、春から秋まで長い期間観察できます。


■ 観察ポイント

  • 林縁や草むらを歩くと、足元からふわりと飛び出すことが多い蝶です。
  • 飛び方は弱々しく、低くゆったりと飛ぶので比較的撮影しやすい種です。
  • 曇りの日や朝方などでも活動しており、他の蝶が休んでいる時間帯でも見つけやすいのが特徴です。

■ 類似種との違い

  • ウラナミジャノメ:より大きく、後翅の眼状紋が多く、翅裏の模様が濃い。
  • ヒメジャノメ:眼状紋の数は似ているが、翅の模様がよりくっきりしており、森林よりも開けた草地に多い。
  • コジャノメ:やや小型で、翅裏の模様が細かく、眼状紋も小さい。

ヒメウラナミジャノメは、これらの中で最も身近な存在であり、観察頻度も高い種です。


■ まとめ

ヒメウラナミジャノメは、その控えめな外見とは裏腹に、眼状紋や裏翅の波模様など美しい特徴を持つ蝶です。都市部でも比較的よく見られるため、昆虫観察初心者にもおすすめの種といえるでしょう。静かな木陰でふわふわと舞うその姿は、自然の奥ゆかしさと繊細さを感じさせてくれます。



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