【日本昆虫研究所】メガネアサヒハエトリの生態と特徴|顔に“眼鏡”をかけたような独特模様をもつハエトリグモの魅力

■ 概要
メガネアサヒハエトリは、日本の森林や林縁などで見られる小型のハエトリグモで、オスの顔面に見られる“眼鏡”のような白い模様が特徴的です。昆虫やクモを視覚でとらえて俊敏に狩るハエトリグモ科の一種であり、独特の顔立ちとコミカルな動きが観察者の興味を引きます。森林性の種で、葉の上や幹の表面を歩く姿が見られます。
■ 基本情報

- 和名:メガネアサヒハエトリ(眼鏡朝日跳蜘蛛)
- 学名:Colopsus longipalpis(旧学名:Plexippus属の一種とされたことも)
- 分類:クモ目(Araneae) / ハエトリグモ科(Salticidae)
- 体長:オス 約6?7mm、メス 約7?9mm
- 分布:本州、四国、九州(山地から低地の森林)
- 活動時期:春?秋(特に6?9月に活発)
- 生息環境:落葉広葉樹林、林縁、木の幹、葉の上、林道脇の低木など
■ 特徴

メガネアサヒハエトリは、名前の通りオスの顔面に“眼鏡”をかけたような白い模様があり、これが最大の識別ポイントです。この模様は主眼(前中眼)の下にあり、白く太いラインが両目をつなぐように入ることから「メガネ」のように見えます。
体全体は黒褐色?濃茶色で、やや光沢があり、脚部には縞模様や白斑があることも。メスはオスに比べてやや大きく、模様は控えめです。典型的なハエトリグモ体型で、大きな主眼と短く頑丈な脚が特徴です。
■ 生態

このクモは、ハエトリグモ科の特徴である**高い視力と跳躍力を活かして狩りを行う“徘徊型捕食者”**です。網を張らず、木の幹や葉の上を歩き回りながら、視覚的に獲物を見つけて飛びかかって捕らえます。
主な餌は小型昆虫や他の小さなクモ類。日中に活発に活動し、オスは交尾期になるとメスの周囲で前脚を掲げるような求愛行動を行うことがあります。
■ 観察ポイント

- 木の幹や葉の表面にじっとしていることが多く、幹のひび割れや日向と日陰の境目などに多く見られます。
- オスは顔の模様がはっきりしているため、マクロ撮影で“眼鏡模様”を記録することも可能です。
- ゆっくり近づけば観察しやすく、人に気づくと頭をこちらに向けて“見つめ返す”ような仕草を見せます。
■ 類似種との違い

- アサヒハエトリ(近縁種):体型や大きさは似ているが、オスの顔に眼鏡模様がない。
- マミジロハエトリ:顔に白い模様があるが、“眼鏡状”にはならず、体色や生息環境も異なる。
- ヤハズハエトリ:模様の入り方は異なり、腹部の模様がより複雑で、顔に眼鏡状の斑はない。
■ まとめ

メガネアサヒハエトリは、森林にひっそりと生息する小型のハエトリグモですが、その特徴的な顔の模様と機敏な動きは、昆虫観察の楽しみを一層深めてくれる存在です。特にオスの“眼鏡”模様は観察や撮影の大きな魅力であり、ハエトリグモに興味がある方にはぜひ見つけてほしい種のひとつです。
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