【日本昆虫研究所】ギンメッキゴミグモとは？銀色に輝く擬態の名手、その網と生態を徹底解説！

クモ目

2025.06.03

【日本昆虫研究所】ギンメッキゴミグモの生態と特徴｜金属光沢を放つ網の芸術家、その静かな狩りの技法とは？

■ 概要

ギンメッキゴミグモは、日本の森林や草地に広く分布する円網（えんもう）を張るクモの一種で、腹部に見られる銀色の光沢模様が最大の特徴です。名前の「ギンメッキ」は、金属をコーティングしたような美しい見た目に由来しており、静かな場所で美しい網とともに発見されることがあります。ゴミグモの仲間としては比較的大型で、網に“ゴミ”を並べる習性も健在です。

■ 基本情報

和名：ギンメッキゴミグモ（銀鍍金塵蜘蛛）
学名：Cyclosa argenteoalba
分類：クモ目（Araneae） / コガネグモ科（Araneidae）
体長：メス約6?8mm、オス約4?5mm
分布：日本全国（北海道?南西諸島）
活動時期：春?秋（特に初夏?秋に多く見られる）
生息環境：林縁、草地、公園、庭、低木の間など

■ 特徴

ギンメッキゴミグモは、腹部の上面に銀色のメタリックな帯模様が入り、その周囲は黒色や褐色で縁取られるのが特徴です。この銀色は光を強く反射し、太陽光の下では特に目立ちます。体形はゴミグモらしくスリムで、脚はやや長く、地味な茶褐色。

網は垂直に張られた円網で、中央に獲物の残骸や脱皮殻などを**「ゴミ」として並べる習性があり、これは擬態と防御のため**と考えられています。クモ自身もそのゴミに紛れて静止することが多く、外敵から身を守っています。

■ 生態

ギンメッキゴミグモは、日中に活動する円網性のクモで、主に飛翔性の小昆虫（ユスリカ、アブ、チョウの幼虫など）を捕食します。網の中央（隠れ帯）に待機しており、獲物がかかると一瞬で飛びかかって糸で包み、口器で捕食します。

特徴的なのは、網に**獲物の残骸や糸くずなどを縦に並べる「ゴミ列」を作る行動」**で、自身もその中に紛れ込んで静止します。外敵から姿を隠す擬態としての効果が高く、特に鳥などの視覚的捕食者に対して有効だと考えられています。

■ 観察ポイント

草の間や低木の枝にかかる円網を注意深く探すと見つかります。
網の中心に白っぽいゴミの列が見えたら、その中にギンメッキゴミグモがいる可能性が高いです。
太陽の角度によって銀色の腹部がきらりと光るため、晴れた日の午前中などが観察に適しています。

■ 類似種との違い

ゴミグモ（Cyclosa octotuberculata）：同属の近縁種で、腹部の銀模様がなく、より褐色。ギンメッキゴミグモよりも地味な印象。
コガネグモやナガコガネグモ：網の構造は似ているが、これらは体が大きく、腹部の模様や色も大きく異なる。
ギンメッキゴミグモの銀色の光沢模様は、他のゴミグモ類には見られない識別ポイント。

■ まとめ

ギンメッキゴミグモは、銀色に光る腹部と「ゴミ列を作る」というユニークな習性を併せ持った、美しくも実用的なクモです。その網は巧みに構成され、自然の中での「身を隠す知恵」が詰まっています。身近な草むらや公園でも観察できるため、昆虫観察初心者にもおすすめの種です。静かな自然の中で、ぜひその芸術的な網と美しい姿を探してみてください。