
##【日本昆虫研究所】プライアシリアゲとは?昆虫らしくない風貌と生態に迫る!
概要

プライアシリアゲは、アシナガバエのような細長い脚、トンボのような翅、サソリのように反り返った尾部を持つという、他の昆虫には見られない独特な姿をした昆虫です。主に初夏の林や草地で見られ、腐った動植物を食べるという特異な食性をもちながら、交尾時には「プレゼント」を使った興味深い行動をとることでも知られています。
特徴
プライアシリアゲの体長は10〜15mmほどで、全体的に細長く、柔らかい体をしています。翅は透明で黒褐色の斑紋があり、静止時には屋根のように背中にたたまれています。頭部は前方に突出し、複眼が大きく、細長い口器を持っています。
オスの腹部末端は上に反り返り、サソリの尾のような形状をしており、これが「アシリアゲ(脚挙げ)」の由来となっています。脚は長く、特に中脚・後脚が発達しており、歩行や静止中のバランスに使われます。
生態

プライアシリアゲは腐肉食や腐植物食性の昆虫で、落ち葉の積もった林床や腐った果実、動物の死骸などに集まります。食性としては幅広く、樹液や虫の死骸を舐めることもあります。非常に嗅覚が鋭く、腐敗臭に敏感に反応します。
注目すべきは、オスが交尾の前に「求愛の贈り物(nuptial gift)」をメスに差し出す習性です。これは他の昆虫の死骸や樹液を包んだ「贈り物の塊」で、メスはその中身を食べている間にオスと交尾します。この贈り物の質や量によって交尾の成功率や持続時間が変化するという、生物学的にも興味深い行動が観察されています。
観察ポイント
- 出現時期:5月~7月がピーク。朝や夕方に林の縁などでよく見られる
- 観察場所:落葉広葉樹林の林床、山道沿い、渓流付近
- 注目点:オスが尾を反り返して飛び回っている姿や、地面で交尾中のペアが観察されることもある
- 行動観察:贈り物を持ってメスに近づくオスの求愛行動
類似種との違い
- ヤマトアシリアゲとの違い:ヤマトアシリアゲの方がやや大型で、斑紋の入り方が異なる。プライアシリアゲはより地味で全体的に黒っぽい印象。
- クロアシリアゲとの区別点:クロアシリアゲは全身が黒く光沢があり、より暗い環境に適応。プライアシリアゲはやや淡い体色で明るい林縁にも現れる。
まとめ

プライアシリアゲは、その奇妙な姿や変わった交尾行動など、昆虫の中でも特にユニークな存在です。林の中を歩いていると、突然葉の上で尾を反り返らせている姿に出会うことがあり、まるで異世界の生き物のような印象を与えます。小さくても多彩な生態と行動をもつこの昆虫は、自然観察の奥深さを感じさせてくれる魅力的な存在です。
基本情報
- 和名:プライアシリアゲ
- 分類:アシリアゲムシ目 / アシリアゲムシ科
- 体長:10〜15mm
- 分布:本州、四国、九州
- 活動時期:5月〜7月
- 生息環境:落葉樹林、渓流沿い、林縁などの湿潤な環境
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