
##【日本昆虫研究所】ツダカクツツトビケラとは?繊細な水辺の名建築家を詳しく解説!
概要

ツダカクツツトビケラは、渓流や清流に生息するトビケラの一種で、美しく整った巣(ケース)を作ることで知られています。幼虫は水中で生活し、自然素材を使って精巧な筒状の巣を作ることで水流から身を守ります。水質の良い場所にしか生息しないため、環境指標種としても注目されています。
特徴
ツダカクツツトビケラは、成虫になると翅を持った細身の昆虫で、灰褐色から黒色の地味な体色をしています。翅には微細な毛が密生しており、休息時には屋根型にたたみます。幼虫は水中に住み、小石や砂粒、植物片などを用いて独特な筒状の巣を作るのが特徴です。この巣の形状や素材の組み合わせは、種によって異なり、ツダカクツツトビケラは特に規則的で美しい巣を作ることで知られています。
生態

ツダカクツツトビケラの幼虫は、水中で小石や砂粒を接着剤のような分泌物で組み合わせて巣を作り、その中で生活します。巣は流れの速い場所でも安定しており、外敵から身を守るとともに、水中の微小な有機物を効率よく濾し取る構造にもなっています。幼虫は水の中で数か月を過ごし、十分に成長すると上陸して羽化し、短い成虫生活を送ります。成虫は夜行性で、光に集まりやすいため灯火採集にも現れます。
観察ポイント
- 幼虫は清らかな流れのある渓流や山間部の川底に見られる
- 巣は川底の石の裏などに付着し、筒状で素材が均一に並べられているのが特徴
- 成虫は春から初夏にかけて出現し、夜間に光に集まる
- 捕まえる際は、水中の石を裏返すと発見できることがある
類似種との違い

- クツツトビケラ属の他種との違い:巣の素材選択に特徴があり、ツダカクツツトビケラは砂粒を規則的に並べた構造を作る
- 他のトビケラとの区別点:体型はやや小さく、成虫の翅の模様が少ないか目立たない
まとめ
ツダカクツツトビケラは、水質の良い渓流にしか見られない貴重な昆虫であり、その生態は自然の繊細なバランスを示す象徴とも言えます。幼虫が作る美しい巣は、昆虫の中でもとりわけ芸術的で、自然観察の大きな魅力のひとつです。水辺の観察を深めることで、この小さな職人の存在に気づくことができるでしょう。
基本情報
- 和名:ツダカクツツトビケラ
- 分類:トビケラ目 / クツツトビケラ科
- 体長:成虫 約6mm~9mm(幼虫時:約10mm前後)
- 分布:本州・四国・九州
- 活動時期:4月~6月(成虫)
- 生息環境:清流、山間の渓流、水質の良い小川
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