【日本昆虫研究所】ツヤキバネサルハムシの特徴と生態｜光沢のある背中と独特の後翅が魅力の小型甲虫

コウチュウ目

2025.06.12

【日本昆虫研究所】ツヤキバネサルハムシとは？金属光沢と翅の構造に注目したい個性派サルハムシ

【日本昆虫研究所】ツヤキバネサルハムシとは？金属光沢と翅の構造に注目したい個性派サルハムシ

概要

ツヤキバネサルハムシは、コウチュウ目ハムシ科サルハムシ亜科に属する小型の甲虫で、その名の通り、光沢のある滑らかな背中（上翅）と、飛翔時に展開される美しい後翅（キバネ＝黄翅）が特徴です。日本全国に分布し、主に山野や林縁部、草地などで観察されることが多い種類です。

「サルハムシ」の仲間は全体的に丸みを帯びた形状をしており、防御的な構造と可愛らしいフォルムが昆虫愛好家の間でも人気があります。その中でもツヤキバネサルハムシは、特に金属光沢の美しさと観察時の動きが印象的な存在です。

特徴

体長はおよそ5〜8mm。丸みを帯びた体型で、上翅は黒〜濃紺色で非常に強い金属光沢を帯びています。この“ツヤ”が名前の由来にもなっており、晴天時などにはまるで鏡のように太陽光を反射することもあります。

後翅（飛翔に使う翅）は黄色っぽく、飛び立つ瞬間に一瞬だけその色彩を見ることができます。普段は上翅の下に収納されており、飛び立つときにのみ展開されるため、観察できれば幸運といえるでしょう。

触角は糸状で比較的短く、前胸背板（胸の上側）は平滑でやや幅広く、全体として滑らかで緻密な構造です。脚もややがっしりしており、葉の上などを器用に移動します。

生態

ツヤキバネサルハムシは日中活動する昼行性で、春から秋にかけて複数世代が見られます。特に6〜9月頃に個体数が増え、草地や雑木林の縁などでよく見られます。花や葉の上を歩き回る様子が観察され、飛び立つ際にはホバリングのように一瞬空中で静止することもあります。

幼虫は植物の葉を食べて成長し、葉の裏などに身を隠しながら生活します。成虫になると、葉や花弁を齧るようにして栄養を摂取しますが、被害を及ぼすほどではないことが多いため、農業的にはあまり問題とされていません。

観察ポイント

日中に明るい草地や低木の葉の上で観察しやすい
上翅の金属光沢が目立つため、光の角度に注意して探すと見つけやすい
飛び立つ瞬間の「黄翅」を目撃するには、静かに近づいて驚かせずに観察するのがコツ
触ると死んだふり（擬死）をすることがあり、じっと動かなくなる

類似種との違い

サルハムシの仲間には多くの似た種類が存在しますが、ツヤキバネサルハムシは全体に強い光沢と、比較的平滑な上翅、飛翔時の黄翅などで見分けがつきます。他のサルハムシでは、上翅に点刻（小さな穴模様）があるものや、マットな質感を持つ種も存在します。

また、同属の近縁種には「クロサルハムシ」などもありますが、やや体型が異なり、光沢の強さや色味で識別できます。

まとめ

ツヤキバネサルハムシは、その美しい金属光沢とユニークな飛翔構造によって、小さな体ながらも強い存在感を放つ甲虫です。草地や林縁など身近な環境で観察できるため、虫好きの初心者からベテランまで幅広く楽しめる対象といえるでしょう。野外でこの昆虫を見つけた際は、ぜひ光沢や翅の構造、行動をじっくり観察してみてください。