
【日本昆虫研究所】トビモンシロヒメハマキとは?飛紋が印象的なヒメハマキガ科の小さな仲間を徹底解説!
概要
トビモンシロヒメハマキは、ヒメハマキガ科に属する小型のガで、前翅に浮かぶ飛ぶような斑紋(飛紋=とびもん)が名前の由来となっています。主に草地や雑木林、農地周辺などで見られ、日本国内では比較的広い範囲に分布しています。非常に小さく、普段はあまり目立たないものの、よく見ると個性的な翅模様や静止姿勢が観察者を惹きつけます。
特徴

体長はおよそ6~9mm、前翅長は4~6mmほどの小型種。翅は白色を基調とし、その上に黒褐色~灰褐色の「飛ぶような」不規則な斑紋が入るのが最大の特徴です。この模様が“飛紋”と呼ばれる理由であり、種名の由来ともなっています。翅を平たく畳んで止まる姿勢は、他のヒメハマキガ科の仲間とも共通する特徴であり、目立たないながらも美しい静止形です。
この飛紋は個体差があり、明瞭なものからぼんやりしたものまで幅があります。模様をじっくり観察することで、他種との区別や識別の楽しみも深まります。
生態

トビモンシロヒメハマキは夜行性で、日中は草の間や葉の裏に静止して過ごし、夕方から夜間にかけて活動を開始します。特に灯火に誘引されやすく、夏場のライトトラップなどでは頻繁に採集される種類の一つです。
幼虫は植物の葉を巻いて内部で生活する「葉巻き」型の習性を持ち、これもヒメハマキガ科の特徴です。食草は明確に特定されていないこともありますが、雑草や低木の葉を好んで利用する傾向があります。成長すると自らが作った葉巻きの中から脱出し、繭を作って蛹化します。
成虫は春から秋にかけて複数世代見られることが多く、特に6~9月頃には数が増える傾向にあります。
観察ポイント

- 夜間に灯火や外灯付近をチェックすると飛来していることがある
- 草むらや庭先の低い植物の葉裏を注意深く観察すると、日中の休息個体が見つかることがある
- 翅の模様は拡大鏡やマクロ撮影によって非常に美しく観察できる
- 成虫は静止時にコンパクトな姿勢をとるため、見逃されやすいが、慎重に探すと面白い
類似種との違い
ヒメハマキガ科の多くは似たような小型で白色系の翅を持ちますが、トビモンシロヒメハマキは「飛紋」と呼ばれる特徴的な模様が識別ポイントです。例えば、モンシロヒメハマキやクロシロヒメハマキなどとも比較されますが、模様の配置や翅の質感で見分けることが可能です。
まとめ

トビモンシロヒメハマキは、その名にふさわしい飛紋の美しさと、コンパクトな身体に詰まった多様な生態が魅力の小型ガです。夜の灯火や植物観察の合間にふと現れるこの種は、昆虫観察の奥深さを感じさせてくれます。普段は見過ごされがちですが、意識して探してみると意外な場所で出会える、そんな楽しみをもたらす昆虫です。
基本情報
- 和名:トビモンシロヒメハマキ
- 学名:不明瞭な場合が多く、地域変異の可能性あり
- 分類:チョウ目 / ヒメハマキガ科
- 体長:6~9mm前後
- 分布:日本全土(北海道〜九州)
- 活動時期:5月~10月(ピークは6~9月)
- 生息環境:草地、雑木林、庭園、農地周辺など
タグ(コンマ区切り)
トビモンシロヒメハマキ,日本昆虫研究所,ヒメハマキガ,昆虫観察,昆虫図鑑,ガの仲間,飛紋,葉巻き虫,灯火採集,夜行性ガ
コメント