
マダラニセケチャタテとは?
マダラニセケチャタテは、チャタテムシ目(Psocoptera)ニセケチャタテ科に属する非常に小型の昆虫で、建物の壁や窓、古い紙類の近くなどでよく見られます。体長はわずか1~2mmほどと極めて小さく、動きはゆっくりで目立ちませんが、細かい斑点模様のある翅を持ち、肉眼でもかすかにその模様が分かります。
「ケチャタテ」という名が付いていますが、実際にはチャタテムシの仲間の中でも分類的にやや異なるグループに属し、「ニセケチャタテ」とされています。
特徴

- 体長:約1〜2mm
- 体色:薄褐色〜灰色で、翅に細かい暗色の斑点がある
- 翅:体よりもやや長く、寝かせるようにして背中にたたむ
- 触角:非常に長く、体長の1.5〜2倍ほどあることも
- 脚:細長く、壁面を這うのに適した構造
- 頭部:やや前方に突き出し、口器は咀嚼型
微細ながらも繊細な構造を持っており、拡大して観察すると驚くほど美しい翅の模様を確認できます。
生態と行動
- 生息場所:人家の壁、窓枠、書籍の間、家具の隙間、古い木材の表面など
- 活動時間帯:終日観察されるが、特に湿度の高い日や夜間に多く見られる
- 食性:カビや微細な有機物を主に摂取。人間にとっての直接的な害は少ない
- 繁殖:産卵は微細な隙間に行われ、幼虫も同じ場所で育つ
- 移動:飛翔能力は限定的で、ほとんどは壁や表面を這って移動する
マダラニセケチャタテは、室内の微小な生態系の一部として存在し、カビを餌にしているため、間接的にカビの増殖抑制に寄与している可能性もあります。
名前の由来

- 「マダラ」:翅に見られる斑点模様から
- 「ニセケチャタテ」:本来のケチャタテムシとは異なる分類群であるため、「ニセ」がつけられている
ケチャタテとは「紙を叩く音」のように見える行動からついた俗称であり、彼らが本などの上を歩く様子がそのように感じられたことが由来とも言われます。
観察のポイント
- 発見しやすい場所:湿気のある古い建物の窓ガラス、壁、カーテンの裏、書棚の周囲など
- 見分け方:1mm程度の小さな昆虫で、ゆっくりと壁を移動。翅に斑点模様があればマダラニセケチャタテの可能性大
- 拡大観察:10倍以上のルーペやマクロレンズを使用すると、翅の模様や触角の繊細さがわかる
- 採集法:吸虫管や微細なピンセットで簡単に採取可能。湿らせた白い紙の上に誘引する方法も有効
似た種との違い
種名 | 主な違い |
---|---|
ケチャタテ | 翅に模様が少なく、ややクリアな外観 |
カビケチャタテ | より小型で、翅が透明〜淡色、斑点がない |
マダラチャタテモドキ類 | よく似ているが、触角の節の数や体表の毛の分布で分類上区別されることが多い |
※正確な種の同定には、顕微鏡観察が必要なこともあります。
人との関係
- 害虫か?:直接的な害はほぼなく、食品や建材への被害も基本的にない
- 出現の原因:高湿度、換気不足、古紙類の堆積などによって増加することがある
- 駆除が必要か?:気になる場合は、除湿や換気、清掃で対処可能。殺虫剤の使用は通常不要
- 環境指標として:カビの発生環境や微小生物群の存在を示す“インジケーター”として注目されることもある
基本情報
- 和名:マダラニセケチャタテ
- 学名:Lachesilla spp.(または近縁種)
- 分類:チャタテムシ目 ニセケチャタテ科
- 体長:約1~2mm
- 分布:日本全国
- 活動時期:通年(特に梅雨時期に多い)
- 食性:微細なカビ、デトリタス
- 特徴:翅の斑点、細長い触角、壁面を移動する行動
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