チョウ目

【日本昆虫研究所】コナガの特徴と生態|農作物を狙う小さなチョウの正体と対策とは?


コナガとは?

コナガ(小菜蛾)は、チョウ目コナガ科に属する非常に小型のガで、野菜類、とくにアブラナ科の作物に大きな被害を与える害虫として広く知られています。日本全国で分布しており、温暖な気候では年間を通して何世代も発生するため、農家や家庭菜園を悩ませる存在です。

その小さな体とすばしっこい動きに反して、繁殖力が非常に高く、農業害虫として世界中で対策が講じられている種でもあります。


特徴

  • 体長:成虫で約6〜8mm(開張約12〜15mm)
  • 体色:灰褐色〜薄茶色で、前翅中央に黄色味のある菱形の斑紋がある
  • 形態の特徴:成虫は翅をたたむと細長い三角形になり、静止時には体を水平に保つ
  • 飛行パターン:すばやくジグザグに飛ぶため捕まえにくい
  • 幼虫:体長8〜10mmの細長い黄緑色の芋虫。葉の裏で生活し、表皮を残して葉を食害する“潜葉食い”が特徴

生態と行動

  • 活動時期:暖地では年10回以上の多化性。寒冷地でも年数回発生
  • 繁殖力:1世代は20日〜1か月程度と短く、爆発的に増えることがある
  • 産卵行動:雌はアブラナ科植物の葉の裏側に卵を多数産みつける
  • 幼虫の行動:葉の裏に潜みながら葉を食べる。被害が進むと網目状になる
  • 蛹化:幼虫が成熟すると葉裏などに白い繭をつくって蛹になる

生息環境

  • 主な環境:畑、菜園、公園の花壇、野原など
  • 特に好む植物:キャベツ、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、カラシナなどアブラナ科植物
  • 都市部でも出現:ベランダ菜園や学校の学習農園でもしばしば発生する

観察のポイント

  • 夕方〜夜に活動が活発:成虫は夜行性で、夕暮れから活発に飛び始める
  • 葉の裏側に注目:卵や幼虫、繭は葉裏に集中する
  • 捕獲の工夫:黄色粘着シートや光を使ったトラップが有効
  • 被害痕のチェック:レース状に透けた葉や、葉の裏の白い繭が発見の手がかり

類似種との違い

種名違いのポイント主な食草
ハスモンヨトウ体が大きく、翅に明瞭な模様あり広範囲の植物
オオタバコガ幼虫は土に潜ることが多く、体が太いナス科植物が多い
シロイチモンジヨトウ翅に白い一本線があるアブラナ科以外も加害

被害と対策

  • 農業上の重要害虫:アブラナ科野菜の葉を集中的に加害し、商品価値を著しく低下させる
  • 殺虫剤抵抗性:多くの地域で薬剤抵抗性を獲得しており、防除が難しい場合もある
  • 対策例
    • 防虫ネットでの物理的遮断
    • 黄色粘着シートによる成虫捕獲
    • 天敵昆虫(寄生蜂やクモなど)の活用
    • 無農薬系の生物農薬(BT剤など)での対応
    • 早期発見と発生前の予防的措置が重要

人との関係

  • 農作物への影響:被害が広がると収穫量が大きく減少し、経済的損失につながる
  • 家庭菜園でも要注意:小規模栽培でも短期間で被害が進むため、早期発見が重要
  • 教育素材にも:身近な虫として、食草や成長過程を学ぶ題材にもなる

基本情報

  • 和名:コナガ
  • 学名Plutella xylostella
  • 分類:チョウ目 コナガ科
  • 体長:成虫 約6〜8mm(開張12〜15mm)
  • 分布:日本全国、世界中の温帯〜熱帯地域
  • 活動期:通年(暖地)、寒冷地では5〜10月
  • 生息環境:畑、公園、ベランダ菜園など
  • 食草:アブラナ科植物(キャベツ、ダイコン、ブロッコリーなど)

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