
##【日本昆虫研究所】キョウチクトウアブラムシとは?有毒植物との不思議な関係と、その特殊な生態に迫る!
概要
キョウチクトウアブラムシは、キョウチクトウなどの有毒植物に寄生して生活するアブラムシの一種で、体内に植物毒を取り込んで身を守るという特殊な戦略を持っています。都市部の公園や庭木に見られることも多く、知らずに接触すると害がある可能性もあるため、注意が必要な昆虫です。
特徴

キョウチクトウアブラムシは、体長約1.5〜2.5mm程度の非常に小型の昆虫で、体色は黄緑色から淡黄色で半透明な質感を持ちます。キョウチクトウの若葉や茎に群生し、集団で生活していることが多く、一箇所に密集して吸汁しています。
翅のある有翅型と翅のない無翅型が存在し、環境や個体密度によって切り替わります。触角や脚は細く長く、体に比して目立ちます。
生態

キョウチクトウアブラムシはキョウチクトウの汁を吸って生活しており、毒性のある成分(カルデノリド類)を植物から取り込み、自らの体内に保持します。これにより捕食者(特に鳥類や一部の昆虫)からの攻撃を回避するという生存戦略を採っています。
また、彼らの排泄物である「甘露」は粘性があり、植物の葉に付着してカビ(すす病)の原因になることもあります。繁殖は単為生殖(メスのみで子を産む)を行い、爆発的に個体数が増えることもあります。
天敵としては、テントウムシ類、ヒラタアブの幼虫、寄生バチなどが存在しますが、有毒植物を宿主とすることにより、比較的安定した生活環境を保っている点が注目されます。
観察ポイント
- 観察時期:春〜初夏が特に多い
- 観察場所:公園や街路樹のキョウチクトウ、ガーデニング用の植栽など
- 注目点:群生して吸汁している様子や、翅あり・翅なしの両型が同時に存在する状態
- 注意事項:キョウチクトウ自体に毒があるため、素手で触らないこと。甘露に触れた後は手を洗うこと。
類似種との違い

- モモアカアブラムシとの違い:モモアカアブラムシはより赤みが強く、体のサイズがやや大きめ。キョウチクトウではなく、モモやバラ類に付く。
- ユキヤナギアブラムシとの区別点:色がより濃く、葉裏に少数で見られる傾向があり、宿主植物が異なる。
まとめ

キョウチクトウアブラムシは、一見地味な存在ながら、有毒植物との共生や防衛戦略といった点で非常にユニークな昆虫です。人間にとっては植物への被害や衛生面での問題も引き起こす可能性があるため、観察する際には十分な注意が必要です。都市部の植栽環境でも見つけやすい種として、学術的にも興味深い存在です。
基本情報
- 和名:キョウチクトウアブラムシ
- 分類:カメムシ目 / アブラムシ科
- 体長:1.5〜2.5mm
- 分布:本州〜沖縄(キョウチクトウが植栽される地域)
- 活動時期:4月〜7月(温暖地ではさらに長期間活動)
- 生息環境:キョウチクトウの葉・茎(とくに若い芽付近)
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