
##【日本昆虫研究所】クロスジヘビトンボとは?異様な姿と水陸を行き来する不思議な昆虫
概要

クロスジヘビトンボは、古代的な外見と独特な生態を持つ昆虫で、特に水辺での観察が楽しめる種です。成虫は一見するとガのような姿ですが、実際はヘビトンボ目に属し、幼虫時代を水中で過ごすという特徴を持ちます。長い鎌状の大顎や、透き通った網目模様の翅など、見た目もユニークで、昆虫愛好家の間では人気のある観察対象です。
特徴

クロスジヘビトンボの体長は約30~40mmで、翅を含めると50mmを超える個体も存在します。翅は4枚ともほぼ同じ形をしており、ガのように屋根型に畳むのが特徴です。翅には黒褐色の縞模様があり、これが「クロスジ(黒筋)」の名の由来です。
頭部には大きな複眼があり、前方には強靭な鎌状の大顎が突き出しています。この大顎は主にオスで発達しており、威嚇や交尾時に用いられます。体色は暗褐色から黒褐色で、翅脈が細かく網目状になっており、翅全体に艶があります。
生態

クロスジヘビトンボは、幼虫時代を水中で過ごす完全変態の昆虫です。幼虫は「ヘビトンボの幼虫」として知られ、肉食性でカゲロウやユスリカの幼虫、小型の水生昆虫を捕食します。幼虫は細長い体に鋭い大顎を持ち、底質の砂や石の間に潜んで獲物を待ち構える水中のハンターです。
幼虫期間は1~2年におよび、成熟すると陸に上がって土中で蛹になります。成虫の寿命は短く、主に6〜7月に出現し、夜行性で灯火にも飛来します。成虫はあまり餌をとらず、主に繁殖のために活動します。
観察ポイント

- 観察時期:成虫は6月〜7月に出現。幼虫は通年観察可能
- 観察場所:渓流や山間部の清流沿い、落差のある水辺が特に好まれる
- 注目ポイント:翅の網目模様、威嚇行動としての大顎の開閉、灯火への飛来など
類似種との違い

- ヘビトンボとの違い:クロスジヘビトンボは翅に黒い筋模様があるのが大きな特徴。一方、ヘビトンボの翅はより透明感があり、模様が少ない。
- オオヘビトンボとの区別点:オオヘビトンボの方が大型で、大顎も著しく発達している。クロスジヘビトンボはやや小型で模様が目立つ。
まとめ
クロスジヘビトンボは、水陸両方でユニークな生態を持つ昆虫です。特に幼虫の水中での捕食行動は観察価値が高く、昆虫観察や水生生物の研究素材としても魅力的です。成虫の姿も非常に個性的で、灯火に集まる姿を見かけることもあります。清流の生態系における重要な構成員として、自然環境の指標にもなり得る存在です。
基本情報
- 和名:クロスジヘビトンボ
- 分類:ヘビトンボ目 / ヘビトンボ科
- 体長:30〜40mm(翅を含めると50mm以上)
- 分布:本州、四国、九州の山間部
- 活動時期:6月〜7月(成虫)/通年(幼虫)
- 生息環境:山地の渓流、水質の良い清流域
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