ムカデ綱

【日本昆虫研究所】ムカデの特徴と生態|多足のハンターが担う自然界の役割とは?


ムカデとは?

ムカデ(百足)は、多足類ムカデ綱に属する陸生の節足動物で、全身に無数の脚を持ち、肉食性で獰猛な捕食者です。日本には40種以上が分布し、特に有名な種類にトビズムカデアオズムカデなどがいます。多くは湿った落ち葉の下や石の裏、倒木の隙間などに潜み、夜になると活動を開始します。

ムカデはその見た目や動きから恐れられることもありますが、実際には生態系の中で重要な役割を担う生物です。


特徴

  • 体長:2cm〜20cm以上(トビズムカデは最大級)
  • 体色:黒褐色・赤褐色・青緑色など種によって多様
  • 脚の数:体節ごとに1対ずつ、おおむね15対(30本)前後
  • 頭部の構造:大きな顎肢(毒腺を含む)を持ち、これで獲物を捕える
  • 尾部:最後の一対の脚はやや長く、攻撃・威嚇時に用いることもある
  • 感覚器官:触角が非常に発達し、暗所での探索や獲物の察知に利用される

生態と行動

  • 食性:完全な肉食性。昆虫、クモ、小型の爬虫類や両生類を捕食
  • 活動時間:夜行性。昼間は石の下や落ち葉の中でじっとしている
  • 移動能力:非常に俊敏で、獲物を素早く捕らえる能力を持つ
  • 繁殖行動:雄は精包(精子の入った袋)を地面に置き、雌がそれを体内に取り入れるという特徴的な間接交尾を行う
  • 産卵と育児:一部の種では雌が卵を守り、孵化後もしばらく幼体を保護する

ムカデと人間の関係

  • 危険性:大顎(顎肢)による噛傷は強い痛みや腫れを伴うことがある。特に大型種(例:トビズムカデ)には注意が必要
  • 毒の作用:局所的な炎症、痛み、まれに発熱やアレルギー反応を引き起こすが、通常は命に関わることはない
  • 益虫としての側面:ゴキブリやハエなどの害虫を捕食するため、生態系上では益虫的な立場にある

ムカデの代表種

種名特徴分布・備考
トビズムカデ日本最大のムカデ(最大20cm)。赤い頭と黄色い脚が特徴本州〜南西諸島
アオズムカデやや小型で青緑がかった体色全国に分布
イッスンムカデ体長2〜4cmで家庭にも侵入しやすい全国の住宅周辺にも出現

観察のポイント

  • 夜の活動:夜間、林道や住宅地で活動中の個体を見かけることがある
  • 隠れ家を探す:朽ち木の中や落ち葉の層、石の下などをそっとのぞくと潜んでいることが多い
  • 幼体の姿:成体に比べて脚が少なく、色も淡く可愛らしい印象

※観察時は素手で触れないように注意しましょう。特に大型種の咬傷は非常に痛みを伴います。


ムカデと類似生物の違い

名称相違点
ヤスデ脚は体節ごとに2対。動きは遅く、基本的に草食性。毒はない
ゲジゲジ脚が非常に長く見えるがムカデと異なり、天井や壁も走れる。咬傷の被害は少ない
ゴキブリ翅があり、外見や動きが異なる。ムカデは捕食する側

基本情報

  • 和名:ムカデ
  • 学名:Chilopoda(ムカデ綱全体)
  • 分類:多足類 ムカデ綱
  • 体長:2〜20cm(種により異なる)
  • 分布:日本全国
  • 活動期:4〜10月(特に梅雨〜夏が活発)
  • 生息環境:森林、庭、石の下、落ち葉の堆積層など

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