カレハガ科チョウ目

【日本昆虫研究所】タケカレハの特徴と生態|竹林に潜む大型ガの意外な素顔


タケカレハとは?

**タケカレハ(竹枯羽)**は、チョウ目カレハガ科に属する大型のガで、竹や笹を食草とすることからこの名前がついています。成虫は褐色の翅をもち、枯葉にそっくりな擬態をすることで知られています。幼虫は大型で迫力のある姿をしており、日本各地の竹林や林縁などで見られます。

竹林に特化した生態を持つことから、竹害や竹林管理との関連性も高く、観察・調査の対象としても注目される昆虫です。


特徴

  • 体長:成虫で30~40mm(開張は70mm前後に達する)
  • 体色:全体的に枯葉色(赤褐色〜茶褐色)で、翅に筋模様や濃淡がある
  • 擬態:落ち葉にそっくりな外見で、静止時には翅を閉じて葉に見える姿勢をとる
  • 性差:オスは触角が櫛状で、メスより小型でスマートな印象

生態と行動

  • 食性:幼虫は竹や笹(特にマダケ、モウソウチク、クマザサなど)を食べる
  • 活動時期:年1回発生、成虫は8〜10月ごろに出現
  • 成虫の行動:夜行性で、灯火によく飛来する
  • 幼虫の特徴:体長50〜70mmに達し、毛は少なく、黒っぽく太い体に白い筋が走る
  • 越冬:幼虫または蛹で越冬し、翌年に羽化することもある

生息環境

  • 主な場所:竹林、林縁、川沿いの笹薮、山地の斜面など
  • 都市近郊でも見られる:竹林が残っている地域では比較的身近な存在
  • 隠れ場所:幼虫は日中、葉裏や茎に沿って静止しており、見つけにくい

類似種との違い

種名違いのポイント主な食草
モモスズメ翅にピンクの模様があるサクラ、ウメなど広葉樹
ウスタビガ翅に大きな丸い目玉模様クヌギやコナラなど
カレハガ類全般擬態は共通だが、食草が異なるサクラ、カシなどが多い

観察のポイント

  • 灯火採集:夜間の街灯や外灯に飛来する個体を観察可能
  • 竹林を探る:幼虫は食痕(かじられた葉)を手がかりに探すと見つけやすい
  • 秋の注目種:8〜10月の夜間、林道や山道で遭遇する確率が高い

注意点と人との関係

  • 人体への害:毛虫のような毒針毛は持たないが、触る際は念のため注意
  • 竹林への影響:発生が多いと一部の竹の葉が丸坊主になることもあるが、森林全体への深刻な影響は少ない
  • 教育・観察素材として有用:擬態、竹との関係、生態の変化など観察教材としても適している

基本情報

  • 和名:タケカレハ
  • 学名Gastropacha pardale
  • 分類:チョウ目 カレハガ科
  • 体長:成虫30〜40mm(開張約70mm)
  • 分布:本州、四国、九州、南西諸島
  • 活動期:8〜10月(年1化)
  • 生息環境:竹林、笹原、山地の林縁など
  • 食草:マダケ、モウソウチク、クマザサなどのイネ科竹類

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