クモ

【日本昆虫研究所】ウヅキコモリグモの子育て行動と知られざる魅力を解説!

ウヅキコモリグモについて

ウヅキコモリグモは、コモリグモ科に属するクモの一種で、日本全国に広く分布しています。その名にある「ウヅキ」は、春先の卯月(旧暦4月)に多く見られることに由来しています。ウヅキコモリグモは、地面を素早く走り回る特徴的な習性と、親が子を守るユニークな行動で知られています。


1. ウヅキコモリグモの外見と特徴

  • 体の大きさ
    成体の体長はオスが7~9mm、メスが9~11mm程度です。メスの方がやや大きいです。
  • 体の色
    茶色から暗褐色の体色を持ち、体には白や灰色の細かい斑紋があります。この模様は、地面の枯葉や土壌とよく似ており、カモフラージュの役割を果たしています。

  • 長くて力強い脚を持ち、素早い移動と跳躍が得意です。

2. 生態と行動

  • 活発な日中活動
    ウヅキコモリグモはコモリグモの中では珍しく、日中に活発に動き回る種類です。地表を素早く走り回りながら、昆虫を捕まえて食べます。
  • 狩りの方法
    待ち伏せ型ではなく、積極的に獲物を追いかけて捕獲するアクティブなハンターです。餌は主に小型の昆虫や節足動物です。
  • 子育て行動
    メスは卵嚢(らんのう)を腹部にくっつけて持ち歩き、孵化後も子グモが背中に乗る独特の子育て行動を見せます。この行動は、天敵から子を守るためと考えられています。

3. 分布と生息環境

  • 分布地域
    日本全土に分布し、他の東アジア地域でも見られます。
  • 生息環境
    森林の地表、草地、畑、庭など、地面が露出している環境を好みます。特に、湿気の多い場所や落ち葉が積もった地面で多く見られます。

4. 繁殖と生活史

  • 繁殖期
    繁殖期は春から初夏にかけてです。オスとメスは地表で活発に動き回りながら交尾を行います。
  • 卵と子グモ
    メスは球状の卵嚢を作り、それを腹部に付けて移動します。卵が孵化すると、子グモは母グモの背中に乗って一定期間生活します。この間、母グモは子グモの安全を確保し、守り続けます。
  • 成長
    子グモは数回の脱皮を経て成体になり、寿命は約1年です。

5. ウヅキコモリグモと生態系の役割

  • 益虫としての役割
    ウヅキコモリグモは、農作物を食い荒らす害虫を捕食することで、間接的に農業に貢献しています。
  • 食物連鎖の一環
    自らも鳥やカエル、他の昆虫に捕食されるため、食物連鎖の中で重要な位置を占めています。

6. 観察のポイント

  • 見つけやすい場所
    日中、地面の近くや落ち葉の上を素早く動く姿を探すと発見しやすいです。動きが速いので、忍耐強く観察しましょう。
  • 子育て中のメス
    背中にたくさんの子グモを乗せたメスは特に目を引きます。このユニークな姿は春から夏にかけてよく見られます。

7. 保護の重要性

ウヅキコモリグモは、益虫として自然環境において重要な存在です。しかし、都市化や農薬の使用により、生息環境が脅かされています。農薬の使用を減らし、自然の地面を残すことが、この種を保護する上で重要です。


ウヅキコモリグモのまとめ

ウヅキコモリグモは、地面を活発に動き回る性格と、母グモの献身的な子育て行動が特徴的なクモです。その生態は、自然の中での昆虫の多様性を知る上で興味深いものです。身近な場所で見られることが多いので、ぜひ観察してみてください。

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